ユースケースの多面的評価に基づいたソフトウェア部品開発の費用対効果の計測支援

ソフトウェア開発と見積もり

ソフトウェア開発において、ソフトウェアを発注する顧客側は要望が叶えられることを期待し、開発者側は予算の範囲内で顧客が満足するソフトウェアを実現することを望みます。

そのためソフトウェアの開発過程では、開発者側が顧客側の要望を分析し、要望の実現に必要なコストの割り当てを行います。これは見積もりと呼ばれ、正しくコストを分析し、予算から実現可能な実装の範囲を決定することが求められます。

優先して実現すべき要求を見極める

実際のソフトウェア開発では予算に限りがあり、全ての要求を実現できない場合が考えられます。そこで要求に優先順位を付けることを目的とした要求の価値を分析する手法が数多く提案されています。

価値評価の手法として「ユースケースの多面的評価によるソフトウェアモジュールの価値計測(森崎修司2015)」があります。同手法はユースケースの価値を評価した結果を基にソフトウェア部品の価値分析をするもので、これにより顧客側の要求の重要度から開発者側の実装する単位での優先度を決定することができます。

提案手法

本研究では、ある要求の実装に必要なコストを他の要求に割り当てることでより顧客満足度の高いソフトウェアを実装できるのではないかという考えに基づき、ユースケースの多面的評価によるソフトウェアモジュールの価値計測に加えて実装時に必要なコストの分析をすることで費用対効果を明らかにする手法を提案しています。

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提案手法により評価した費用対効果を基に予算の範囲で要求を選択することで、利害関係者の利益が最大限になることが期待されます。