モジュールの適性を考慮したコミッター予測

大規模OSS開発において,日々大量の不具合が報告されています.多くの不具合は,投稿された修正パッチファイルをコミッターが検証することによって修正されます.コミッターとは,コードを直接変更する権限を持つ特別な開発者のことで,コミット権限を持たない開発者に比べ,コミッターは少人数で構成されています.

コミッターは少人数で構成されているため,コミッターに過度な負担がかかっています.コミッターに過度な負担がかかることにより,パッチの検証を効率的に行うことができなくなることから,不具合修正の長期化が問題となっています.コミッター不足による不具合修正の長期化を解消するために,コミッターに昇格可能な開発者を予測する研究が盛んに行われています.
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実際の大規模OSSプロジェクトでは,各コミッターが担当すべきモジュールが決められています.しかしながら,先行研究では,各コミッターのモジュールの適性は考慮されておらず,不具合修正の効率化には人手が不足しているモジュールのコミッターに適した開発者を推薦することが必要となります.
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アプローチ


本研究では,各コミッターの昇格前の活動量メトリクス(コメントやパッチの投稿数)および,コミット権限を持たない一般開発者の活動量メトリクスを学習し,現在コミット権限を持たない開発者が将来コミッターとなるか否かの予測を行います.本研究の特徴は,モジュールごとの活動量メトリクスを計測することで,モジュールの適性を考慮したコミッター予測を実現します.

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主な論文


山谷 陽亮, 大平 雅雄, “モジュールごとの活動量を考慮したモジュールオーナー候補者予測:大規模OSSプロジェクトへの適用,” 情報処理学会報告 ソフトウェア工学研究会, volume 2016-SE-191, number 5, pages 1–8, 2016年3月.