\documentclass{ipsjpapers}
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\usepackage[dvips]{graphicx}

% 巻数，号数などの設定
\setcounter{巻数}{11}
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\採録{11}{1}{1}

% ユーザが定義したマクロなど．
\makeatletter

%\checklines	% 行送りを確認する時に使用
\begin{document}%{
% 和文表題
\title[対面コミュニケーションにおけるTree-Mapを用いた共著関係の視覚化]%
{対面コミュニケーションにおける\\Tree-Mapを用いた共著関係の視覚化の効用}

% 英文表題
\etitle{Effects of Visualizing Coauthor Relationships as a Tree-Map \\in Face-to-face Communication}

% 所属ラベルの定義
\affilabel{NAIST}{奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科\\Graduate School of Information Science,
Nara Institute of Science and Technology}

% 和文著者名
% 変な空白が…
\author{栗山 進\affiref{NAIST}\nomember{}\and
大平 雅雄\affiref{NAIST}\member{111111111}\and
松本 健一\affiref{NAIST}\member{198527448}}

	
% 英文著者名
\eauthor{Susumu Kuriyama\affiref{NAIST}\and
Masao Ohira\affiref{NAIST}\and
Ken-ichi Matsumoto\affiref{NAIST}}

% 連絡先（投稿時に必要．製版用では無視される．）
\contact{栗山 進\\
	〒630-0192 奈良県生駒市高山町 8916-5\\
	奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科\\
	TEL: 0743-72-5318, 5312\qquad FAX: 0743-72-5319\\
	email: susu-ku@is.naist.jp}


% 和文概要
\begin{abstract}
我々はこれまで，研究者個々人の共著関係を共著論文数によって重み付けられた
Tree-Mapとして視覚化し，会議や集会における研究者らのインフォーマルなコミュ
ニケーションを支援するシステムSCACS (a Social Context-Aware
Communication System) を開発してきた．本稿では，システムの効用を調べるこ
とを目的としておこなったケーススタディについて報告する．ケーススタディで
は，SCACSが視覚化した共著関係を紙に印刷し，それを現役の研究者15名それぞ
れに身に付けてもらい，自由にコミュニケーションしてもらった．ケーススタディ
の結果，SCACSによる共著関係の視覚化表現が，対話相手の社会的情報（社交性，
所属機関，役職など）を推測する際に利用できることが確認できた．
\end{abstract}

% 英文概要
\begin{eabstract}
We have been developing SCACS (a Social Context-Aware Communication
System) that supports informal communications among researchers in
academic conferences and workshops through visualizing coauthor
relationships as a Tree-Map weighted by number of coauthored
papers. This paper reports the results of a case study to investigate
effects of visualizing coauthor relationships as a Tree-Map. 15
researchers participated in the case study and talked each other with
handouts that imitate the SCACS's visualization. From the results of the
case study, we found that the participants used visualized coauthor
relationships for presuming social information of conversational
partner, such as sociality, affiliation, official position and so forth.
\end{eabstract}

% 表題などの出力
\maketitle

%}{


% 本文はここから始まる
\section{はじめに}

現在，MySpaceやMixiといったSNS （Social Networking Service）が爆発的に普
及しつつある．SNSでは，ユーザが明示的に自身の人間関係（誰と友人・知人で
あるか，など）を登録し，その上で他者とコミュニケーションを行うための各種
サービス（掲示板やメールなどのメッセージの送受信機能）を利用することがで
きる．SNSの普及と共に，SNSに関する学術的研究も盛んにおこなわれてきており，
SNSにおける人間関係の構造\cite{湯田2006}や人間関係が果たす役割や利点
\cite{竹内2006}などが報告されている．


また，携帯端末の高度化や環境センサの小型化，RFIDタグなどの普及によりユビ
キタスコンピューティング環境が年々整備されつつあり，ユビキタス技術とSNS 
を連携させたシステムが多数提案されている．例えばTrace\cite{Counts2005}は，
展示会などのイベントに参加したという事実を用いることでイベント後の人々の
交流を支援するためのSNSである．Traceでは，誰が同じイベントへ参加していた
のかが参加者の写真などと共に表示されるようになっている．実空間で共有した
体験に基づいて，仮想空間であるSNS内での人々の交流を支援しようとするアプ
ローチである．一方，SNS内で定義された人間関係を利用して，実空間内での人々
の交流を支援しようとする試みもなされている\cite{Chew2005}．

しかしながら，SNSで定義されたサービスを提供するための基盤となる人間関係
が，実際のコミュニケーションへどのような影響を与えるかを調査した研究はま
だ少ないのが現状である．SNSの爆発的普及の理由の1つは，他者の人間関係が開
示されている事でコミュニケーションに対する安心感や信頼感を得られる点にあ
るが，プライバシーに対する懸念\cite{Gross2005}など人間関係を利用すること
に負の側面が存在しない訳ではない．本研究の目的は，ユビキタス環境における
コミュニケーション支援において，人間関係を用いることの効用を明らかにする
ことである．

本稿は，その第一歩として，対面コミュニケーション時に対話相手が有する人間
関係を視覚化する効用を調べる．これまで我々は，研究者個々人の共著関係を視
覚化し，会議や集会における研究者らのインフォーマルなコミュニケーションを
支援するシステムSCACS (a Social Context-Aware Communication System) を開
発してきた\cite{Kuriyama2006}．人間関係として共著関係を利用するのは，一
般に公開されている情報であることと，共著したという事実を扱うため人間関係
の定義の曖昧性をある程度避けることができると考えたからである．本稿では，
システムの効用，すなわち，対面コミュニケーション時に対話相手の人間関係を
視覚化することの効用を調べることを目的としておこなったケーススタディにつ
いて報告する．

次章ではまず，本研究と関連の深いシステムを紹介し本研究の立場を明らかにす
る．続く\ref{sec:scacs}章では，現在我々が構築しているSCACSを紹介する．
\ref{sec:hypothesis} 章では，SCACSで採用したTree-Mapによる共著関係の視覚
化方法が対面コミュニケーションに与える影響についての仮説を述べ，ケースス
タディの分析の視点とする．\ref{sec:case_study}章では，実際に研究者を対象
として行ったケーススタディの結果について述べる．\ref{sec:discussion}章で
考察を行い，最後にまとめを述べる．


%}{

\section{関連研究}\label{sec:related_work}

学会や展示会など，多くの人々が集まる場において，人々のコミュニケーション
を支援するシステムはすでに多数提案されている．C-MAP\cite{角1998}は，展示
物に関する興味の共有により，参加者間のコミュニケーションを支援する．
SCACSは主に，人間関係の活用を主眼としており，システムの目的が大きく異な
る．SCACSは，初対面の相手と会話する際に，共通の知人を視覚的に提示するこ
とで会話のきっかけや方針を与えることが目的である．

Sparks\cite{Chew2005}は，お互いが興味を持っている事柄に関するキーワード
を床面に表示し，かつ，両者が以前あったことがあるかどうかで表示色を変更す
ることでコミュニケーションを支援する．SCACS は，対話相手が誰と関係を持っ
ているかという情報を提示する点で異なる．

Polyphonet\cite{濱崎2006}は展示発表のスケジューリングや推薦，他の参加者との交流を支
援するシステムである．Polyphonet はイベント参加者同士のつながりを抽出し，
視覚化することで参加者同士の交流を支援する．PolyphonetはSCACSと同様に，
対話相手が誰と関係を持っているかという情報を提示するが，2つの研究が属す
る研究の流れは大きく異なる．PolyphonetやSCACSといったユビキタスアプリケー
ションの研究には以下に挙げる3種の大きな流れがある\cite{Abowd2000}．

\begin{enumerate}
 \item 自然な入出力インタフェースを追求する研究
 \item ユーザが置かれている状況に適合し（コンテクストアウェア），適切なサポートを行うシステムを追及する研究
 \item 情報の自動収集及び，集めた情報への柔軟で自在なアクセスの提供を追求する研究
\end{enumerate}

Polyphonetはソーシャルネットワークの自動抽出に力点を置いた研究であるので
(3)に属すと考えることができる．一方，SCACSは，(2)を指向する研究であり，
両者の違いはユーザに提示する情報の視覚化方式に表れている．Polyphonet で
は\figref{fig:visualization}上のような無向グラフによって人間関係を表現す
る方式を用いているが，SCACSでは\figref{fig:visualization}下のような
Tree-Map形式の視覚化方式を用いている．SCACSは対面コミュニケーションを使
用場面と想定し，その状況に適していると考えられる視覚化方式を採用した．こ
れらの視覚化方式については次章で詳しく説明する．


\section{SCACS: a Social Context-Aware Communication System}\label{sec:scacs}

これまで我々は，研究者間のコミュニケーションを支援するために，共著関係を
視覚化するシステムSCACS (a Social Context-Aware Communication System)を
構築してきた．SCACSは対話相手の共著関係をその場で視覚化し，ユーザに提示
する．これによりユーザは互いの研究コミュニティ内における関係や，相手の研
究面の背景をある程度知ることができる．以降ではまず，SCACSのシステム構成
を概説し，SCACSが共著関係を視覚化する方法について述べる．

\subsection{システム構成}\label{subsec:system}

\figref{fig:system}にSCACSのシステム構成を示す．SCACSはSNS Server,
Environmental Sensor, Portable Computer, Display Deviceの4つの構成要素か
らなる．以下にそれぞれのコンポーネントについて概説する．

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{システム構成図}
 \ecaption{SCACS Overview}
 \label{fig:system}
\end{figure}

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{HMD装着時のシステム利用イメージ\\（左はシステム利用者，右はシステム利用者が対話者を見ている様子）}
 \ecaption{User Interface with HMD and Webcam.}
 \label{fig:ui}
\end{figure}

\begin{description*}

\item[SNS Server]

共著情報を複数の学会（情報処理学会，ヒューマンインタフェース学会，電子情
報通信学会，人工知能学会など）の文献検索サービスから収集し，共著情報を扱
うクライアント (Portable Computer) からアクセス可能なAPIを提供する．

\item[Environmental Sensor]

ユーザの向きや他のユーザとの距離など，身体的・環境的なコンテクストを獲得
するために環境中に配置される各種センサ群．WebcamやGPS，RFID，ジャイロセ
ンサなどの利用を想定している．Environmental Sensorによって獲得された情報
は，次に述べるPortable Computerに提供される．

\item[Portable Computer]

SNS ServerとEnvironmental Sensorから獲得した情報を統合し，ユーザが現在置
かれている状況を考慮した情報を生成，視覚化し，Display Deviceへ視覚化され
た情報を送信する．現在の実装では，生成される情報は，主に，対話相手の共著
関係である．

\item[Display Device]

Portable Computerから受信した情報をユーザに提示するデバイス．
\figref{fig:ui}はHMD (Head Mounted Display) をDisplay Deviceとして使用し
た場合の例である．状況に応じてPDAや携帯電話などの利用も想定している．我々
は，SCACSを学会においてのみ適用するのではなく，他の様々な集会の場におけ
る適用も考えているが，本稿では，学会においてSCACSを用いて研究者間の対面
コミュニケーションを支援することを想定して議論を進める．

\end{description*}

\subsection{ソーシャルネットワークの視覚化}\label{subsec:visualization}

SCACSのPortable Computerが行う共著関係の視覚化の方式について述べる．共著
関係をはじめとするソーシャルネットワークは，一般的に有向／無向グラフとし
て表現されることが多い．有向／無向グラフ表現はソーシャルネットワークを巨
視的な観点から分析するには大いに助けになる．しかしながら，共著関係のよう
な複雑なネットワークを有向／無向グラフで表現する場合，一見しただけでは誰
が誰と関係しているかが分かり辛いという問題がある．特に，共著者数の多い人
物の共著関係を有向／無向グラフを用いて理解することは困難である．SCACSの
支援対象である学会でのインフォーマルな対面コミュニケーションでは，対話相
手の研究面の背景や自分との関係を，場の雰囲気を壊さない程度の短時間で理解
することが求められるため，グラフ表現は適さないと考えられる．

対面コミュニケーション時に複雑なネットワークを短時間に理解可能な方法で表
現するにあたって，我々は，ソーシャルネットワークを
Tree-Map\cite{Shneiderman1992}の手法を用いることにした．Tree-Mapは，複雑
な階層ツリー構造を表現する手法の1つである．しかしながら，Tree-Map手法は
木構造に対して考案されたものであり，そのままではソーシャルネットワークの
ような閉路を持つグラフには適用することはできない．そこで我々は，「誰のソー
シャルネットワークを見ているのか」という視点を持ち込むことでTree-Mapの手
法を適用することを可能にした．

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{共著関係の無向グラフ表現のTree-Map表現への変換}
 \ecaption{Transformation into a tree map}
 \label{fig:visualization}
\end{figure}

\figref{fig:visualization}は共著関係ネットワークをTree-Mapへと変換した例
である．\figref{fig:visualization}の上側は，共著関係を無向グラフとして表
現したものである．辺の上の数字は両端の頂点に対応する人物同士が共著した回
数を表す．\figref{fig:visualization}の下側は上側の無向グラフをSmithを根
とみなしTree-Mapで表現したものである．また，\figref{fig:visualization}の
Tree-Map表現は，Smith と対面コミュニケーションを行っている人物（システム
のユーザ）のDisplay Deviceに表示されるSmithの共著情報となる．Smithには5
人の共著者 (Brown, Williams, Miller, Jones, Johnson) がおり，計37
(15+8+7+4+3) 回共著している．

次に，無向グラフをTree-Map表現へ変換する手順について述べる．まず，SCACS
のPortable Computerは，対話相手であるSmithの名前を表示領域の左上に配置す
る．次に残りの領域にSmithの共著者5名（ノード）を割り当てる．その際，共著
した論文の数の割合に比例した大きさの領域を割り当てる．この場合，Smithと
最も多く共著しているBrown（15本）に一番大きな領域が割り当てられている．
矩形領域の明度は個々人を識別しやすくするために設けられている．名前が表示
されていない領域は，その領域内に名前を表示しきれない際の省略表示である．
また，名前に下線が引かれている人物はSmithの共著者の共著者であることを意
味する（グラフ表示で見た際，Smithから距離2の人物）．次にPortable
Computerは，Smithの各共著者に割り当てられた領域内を上記と同様の手順で分
割する．例えば，Brownの領域はその名前を示す領域を除いて，Brownの共著者
（Smithの共著者の共著者）を表示するのに用いられる．この時，領域は縦方向
ではなく横方向に分割される．Brownの各共著者に割り当てられる領域の高さは，
（Smithの場合と同様に）Brownが共著した論文の数の割合に比例する．

SCACSの現在の実装では，対話相手の共著者の共著者（距離2）までを視覚化する．
距離3以上の人物は共通の話題として取り上げられる可能性が低いと考えられる
ためである．距離3以上の共著者を閲覧する場合は，Tree-Map上の任意の共著者
の名前をクリックすると，クリックした人物を「視点」としてTree-Mapが再描画
される．例えば，\figref{fig:visualization}でAndersonをクリックすれば，
Andersonを視点としてTree-Mapが再描画されるので，Andersonの共著者（Smith
にとって距離３の人物）を確認することができる．

\section{共著情報を対面コミュニケーション時に提示する効果についての仮説}\label{sec:hypothesis}

本章では，コミュニケーション時に対話相手の人間関係を知ることの効用につい
て検討する．我々は，以下に挙げる仮説が成り立つことを予想している．ただし，
ここでは，共著関係という人間関係のみを対象とするのではなく，共著関係より
も広くて曖昧な，お互いに知り合いであるという人間関係においても成り立つよ
うに抽象化した仮説とした．

\begin{description*}
\item[仮説1] 初めて会話する際でも，共通の知人を話題にして会話できる可能性がある．
\end{description*}

互いに共通の知人がいる事が分かった場合，「○○さんとお知り合いですか，最
近どうしているかご存知ですか」や「もしかして□□大学出身の方ですか」のよ
うに共通の知人を話題のきっかけとして会話できる可能性がある．実際，共通の
知人の存在に気付いたことで初対面の人物との会話が弾んだという経験がある人
は少なくないと思われる．

\begin{description*}
\item[仮説2] 対話相手とは直接関係が無くとも，共通の知り合いがいることからくる親近感や信頼感を得ることができる可能性がある．ただし，共通の知人に対して好意的な印象を持っていない場合は，否定的な感情を抱く場合もあり得る．
\end{description*}

共通の知人が存在することを知る最も大きなメリットの1つは，対話相手に親近
感や信頼感を感じやすくなることであると考える．自分と仲の良い人物が，対話
相手とも知人である場合，対話相手に対して赤の他人よりは親近感を抱きやすい．
一方，自分と仲の悪い人物，あるいは，良い印象を持っていない人物が，対話相
手とも知人である場合は，（対話相手が共通の知人に対して肯定的な印象を持っ
ている場合）対話相手に対して否定的な感情を抱く可能性もあり得ると考えられ
る．

\begin{description*}
\item[仮説3] 対話相手の社会的情報（社交性，所属機関，役職など）が推測できることにより，コミュニケーション方針決定の手がかりを得ることができる可能性がある．
\end{description*}

ここで言うコミュニケーション方針とは，どのような専門用語を使うかといった
ことや，言葉遣いをどうするかといった会話の様式を指すものとする．人は一般
に他者と会話する際，相手の表情や動作，容貌などを手掛かりとしてコミュニケー
ションの取り方やその方針を決定している．例えば，新入社員が先輩に話し掛け
る際は言葉遣いに気をつけるであろうし，先輩は新入社員に対して仕事の話をす
る際は彼に分かるような言葉を使って話をする．そのような，口にする言葉以外
にやりとりされているメッセージはノンバーバルメッセージと呼ばれ，コミュニ
ケーションにおいて重要な役割を果たしている\cite{黒川1994}．したがって，
話し相手が誰とどのような関係であるかという情報も同様にコミュニケーション
方針決定の際の手がかりになると考えられる．

\begin{description*}
\item[仮説4] コミュニケーションを行う際に人間関係を知ることができることに対してプライバシを侵害されたと感じる可能性がある
\end{description*}

一般に人間関係というものは個々人のプライバシに係わる事であるため，対話す
る相手にのみ自分の人間関係が開示されると限定したとしても，不安感や不快感
を抱く可能性がある．本稿での人間関係は，一般に公開されている学術文献の検
索サービスから抽出した共著関係である．プライバシの侵害に関しては比較的問
題がないと思われる情報であるが，取り扱いには十分な注意が必要であり，仮説
4として検討することとした．

次章では，これらの仮説を分析のための視座とし，SCACSによる共著情報の
Tree-Map表示が対面コミュニケーションにおいて仮説に挙げたような事象が見ら
れるのかを調べるために行った，ケーススタディについて述べる．

\section{ケーススタディ}\label{sec:case_study}

国内で行われたある学会にてケーススタディを行い，アンケートを収集した．ケー
ススタディ参加者は学会参加者30数名のうちの約半数の15名の研究者である．参
加者は年齢も研究歴も様々であった．また，知り合い同士の参加者が大半であり，
今回初めて顔を合わせたという参加者は少なかった．共著関係としては学会参加
者が普段投稿していると思われる複数の学会で一般に公開されている論文データ
ベースから抽出して用意しておいた．ケーススタディの流れは以下のとおりであ
る．

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{共著関係を印刷した物を身につけた参加者の様子}
 \ecaption{foo bar}
 \label{fig:participants}
\end{figure}

\begin{enumerate}
 \item 参加者にSCACSによる共著関係の視覚化方式 （\figref{fig:visualization}）の読み取り方について説明した．
 \item 参加者は全員，自分の共著関係を印刷した物（SCACSを利用した際に対話相手に提示される情報と同じ内容）を身につけてもらう（\figref{fig:participants}）．
 \item 夕食後の20分程，印刷物を身につけ自由に他の参加者と会話しながら過ごしてもらった．
 \item 最後に，アンケートに記入してもらった．
\end{enumerate}

ケーススタディ実施会場は畳の部屋であり，移動する時以外は参加者は床に座し
ているのが通常であった．著者らは会話には参加せず，ケーススタディ参加者間
のコミュニケーションを観察していた．

ケーススタディの時間中は，3〜4人で集まって会話をしている様子が多く見受け
られた．1対1で会話している参加者も一部いた．その際，共著関係が多数話題に
上っていた．

アンケートでは，共著情報が表示される事についての肯定的な感想と否定的な感
想の自由記述をしてもらった．肯定的な感想が14件，否定的な感想は2件であっ
た．また，ケーススタディ全体を通しての感想を自由記述してもらった．以下に
肯定的な感想の一部を以下に示す．

\begin{itemize}
 \item 知っている名前をみると話しやすかった．
 \item （対話相手の）売りとバックグラウンドがわかった．
 \item 相手の人脈が分かる．
 \item 話題のトリガにはなる．
 \item 研究に関する人のつながりが良くわかる．
\end{itemize}

次に，2件のみではあったが否定的な感想も得られた．以下に否定的な感想を示す．

\begin{itemize}
 \item 会わずとも知っていた話題で話すしかなかった．
 \item 話題の創出に役に立たなかった．
\end{itemize}

また，全体を通しての自由記述による感想も幾つか得ることが出来た．以下にその幾つかを示す．

\begin{itemize}
 \item 顔見知りだらけなので，別のツールとして使ってしまう．
 \item 社会性・社交性を詮索してしまう．
 \item もたれ合い関係が見える．
\end{itemize}

これら得られた感想については次章にて，ケーススタディ中に観察された内容を交えつつ仮説と共に議論する．

\section{考察}\label{sec:discussion}

まず，仮説1の「共通の知人を話題にすることができる」という観点では，肯定
的な感想の中に「話題のトリガにはなる」，「知っている相手でも，思いがけな
い共著関係を発見できて面白かった」，「ある知り合いの先生がよく知った研究
所に勤めていたことがわかった」とあり，一部の参加者からは人間関係の視覚化
が対面コミュニケーションにおいて効用のあることが確認できた．しかしながら，
「話題の創出には役立たなかった」という否定的な感想も得られており，仮説1
を正しく検証するにはアンケート項目を見直すことや，アンケート回収時にイン
タビューを行う必要があることが分かった．

仮説2「対話相手とは直接関係が無くとも，共通の知り合いがいることからくる
親近感や信頼感を得ることができる可能性がある」の検証については十分におこ
なうことができなかった．今回のケーススタディでは，お互いに知り合いである
参加者が大半であったため，「いつもより相手に親近感が湧いた」，「知ってい
る名前をみると話しやすかった」といった感想は得られているものの，共通の知
り合いがいたからそう感じたのかは不明である．仮説2を検証するには，仮説1と
同様にアンケート回収時にインタビューを行う必要がある．

仮説3「対話相手の社会的情報（社交性，所属機関，役職など）が推測できるこ
とにより，コミュニケーション方針決定の手がかりを得ることができる可能性が
ある」については，参加者が対話相手の社会的情報（社交性，所属機関，役職な
ど）を推測していたことを示す以下のようなアンケート結果が得られた．

\begin{itemize}
 \item 社会性・社交性を詮索してしまう．
 \item もたれ合い関係が見える．
\end{itemize}

これらの感想についても詳しくインタビューを行わなかったため詳細は不明であ
るが，SCACSによる共著関係の視覚化方式により，対話相手の社会的情報につい
ての推測は可能である．以下に，具体的にどのような推測ができるのかをいくつ
かの例を用いて示す．

\ref{sec:scacs}章で述べたように，対話相手の共著者に与えられる表示領域の
幅はその共著割合に比例する．そのため，例えば，\figref{fig:social1}に示す
ような共著関係の場合，TaroはYujiと一番共著しており，またYujiはTaroと一番
共著しているため，TaroとYuji は互いに良い研究パートナーであるとか，長い
付き合いであるといったことが推測できる．他にも，\figref{fig:social2}のよ
うに共著者が多い人物の場合，大学の教授・助教授クラスの教員である（多数の
学生と共著する機会が多いため共著者が増えやすい）ことや，積極的にコミュニ
ティ内で研究パートナーを広く探す社交的な人であるといったことが推測できる．
このように，対話相手の社会的な地位などを推測することが可能なため，それに
応じて自身のコミュニケーションの仕方を調整することができる．今後のケース
スタディ及び実験では，対話相手の共著情報からどのような推測を行い，その結
果会話の方針にどのような影響を及ぼしたかどうかを調べることが望まれる．そ
の際にはインタビューは勿論のこと，回顧の助けを目的とした会話の録画も検討
する必要がある．

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{対話相手の社会的情報が推測できる例1}
 \ecaption{foo bar}
 \label{fig:social1}
\end{figure}

\begin{figure}
 \begin{center}
  \includegraphics[width=1.0\linewidth]{all.eps}
 \end{center}
 \caption{対話相手の社会的情報が推測できる例2}
 \ecaption{foo bar}
 \label{fig:social2}
\end{figure}


仮説4「システムによってプライバシを侵害されたと感じる可能性がある」につ
いては，仮説を支持するような事象は観察されなかったと共にアンケートにおい
ても不快感を示した回答は存在しなかった．しかしながら，一般に人間関係とい
うものはプライバシに関わる事なので不快感を示す人が出てくるのは十分考えら
れることである．今回それが表れなかったのは，ケーススタディへの参加に同意
した方のみということと，20分という短い時間での実施であったこと，知り合い
同士の方が多かったことがその要因として考えられる．今後，社会心理学的なア
プローチによるある程度大きく長期的な研究がなされることが望まれる．

今回のケーススタディでは，できるだけ自然な条件設定を目指したため仮説を詳
細に検証するまでには至らなかった．仮説の更なる検証や，SCACSがどの程度，
どのように役立つのかを詳しく知るためには，ある程度統制された実験が必要に
なるが，統制された実験では今回行ったケーススタディよりも不自然な設定（知
らない者同士を半ば強制的に対面させて会話してもらうなど）にならざるを得な
いと考えられる．その意味では，実際の研究者が多数集まる場において，できる
だけ自然な設定で行った今回のケーススタディの結果は，貴重なものであるとい
うことが出来る．仮説の検証までは至らなかったものの，共著関係を提示したコ
ミュニケーションに対する感想を多数得られ，かつ，好意的な感想が大多数を占
めていた．統制実験を行う際には，話者同士の関係（顔見知りではあるが共著者
同士ではない，全くの初対面など）と表示されている共著関係に知り合いがいた
かどうかということは最低限考慮しなければならないだろう．

また，今回得られた否定的な感想において，話題のきっかけにならなかったとい
うことが挙げられていたが，共著関係に知り合いを見つけるなど注目できる情報
を見つけられなかった場合は十分あり得ることである．しかしながら現実世界は
スモールワールドの性質を持つ\cite{Watts2003}ため，共著関係ではなく広く人
間関係を扱えば，知り合いを見つけられないなどといった可能性はあまり高くは
ならないと考えられる．

\section{Tree-Mapによる共著関係の視覚化表現の理解容易性評価実験}\label{sec:performance}

本章では，SCACSが採用した共著関係のTree-Map表現と無向グラフ表現のどちら
がより早く正確に共著関係を読み取ることができるかを調べた実験について説明
する．\label{subsec:visualization}で述べたように，



実験の目的：Tree-Map表現と無向グラフ表現のどちらがより早く正確に共著関係を読み取ることができるかを調べること

被験者：10名（大学院生）

使用した共著関係：過去6年分の全国大会規模の学会の共著関係（毎年の参加者数は数百人）

タスク内容（1タスク12回，10タスク．合計120回）
対話相手の共著者上位（共著割合の高い順）3名に順に印をつける
印をつけた人物の共著者上位3名に印をつける（合計9名に印をつける）

実験の手順
Tree-Map表現と無向グラフ表現の読み取り方を説明する
実験で行うタスク内容を説明する
タスク内容を理解したかを確かめるため練習タスクを行ってもらう
タスクを行う

問題に使用した無向グラフの例

問題に使用したTree-Mapの例

Tree-Map: 平均4分
無向グラフ: 平均8分

Tree-Map 方式の方が無向グラフよりも一被験者を除いて2分以上早く終了
誤答は両方式ともほとんど見受けられなかった


\section{まとめ}\label{sec:summary}

% 研究会のを流し込んだだけ
本稿では，会議や集会における研究者らのインフォーマルなコミュニケーション
を支援するシステムSCACSが採用した視覚化方法の効用を調べることを目的とし
ておこなったケーススタディについて報告した．SCACSは学会でのインフォーマ
ルな対面コミュニケーションというコンテクストを考慮し，研究者個々人の共著
関係を共著論文数によって重み付けられたTree-Mapとして視覚化する．ケースス
タディの結果，SCACSの共著関係の視覚化方式は対話相手の社会的情報（社交性，
所属機関，役職など）を推測する際に利用できることが明らかとなった．

今回のケーススタディでは，できるだけ自然な条件設定を目指したためSCACSが
どの程度・どのように役立つのかを詳細に調べるには至らなかったが，ある程度
統制された実験を行うことによってこれを明らかにしてゆく予定である．また，
SCACSが採用したTree-Map表現が対面コミュニケーションに適しているかどうか
を調べる実験も行う予定である．


%}{

\begin{acknowledgment}

% 研究会のを流し込んだだけ
本稿を執筆するにあたり，ケーススタディの準備にご尽力くださいました皆様，
ケーススタディ参加者として快くご協力してくださいました皆様に心より感謝い
たします．本研究の一部は，文部科学省科学研究補助費（基盤研究B，課題番号
17300007；若手B，課題番号17700111）による助成を受けた．また，財団法人セ
コム科学技術振興財団の助成を受けた．

\end{acknowledgment}

%}{


% $ platex draft
% $ jbibtex draft
% $ platex draft
% $ platex draft

\bibliographystyle{ipsjunsrt}
\bibliography{myrefs}

% 製版用のファイル群には \|.bib| ファイルではなく \|.bbl| ファイルを必ず含
% めることに注意されたい．

% \begin{thebibliography}{99}% 文献数が10未満の時 {9}
% \bibitem{}
% \end{thebibliography}

%}{

\begin{biography}
\nomember{栗山 進}
昭和54年生．

平成14年九州大学理学部物理学科卒業．
平成17年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了
平成17年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程
に入学，現在に至る．ユーザビリティ，情報視覚化，
インタラクションデザインに興味を持つ．電子情報通信学会，IEEE，ACM各学生会員．
%
\member{大平 雅雄}
\member{松本 健一}
\end{biography}
\end{document}
