ルール作成プロセス支援 東 裕之輔、大平 雅雄(和歌山大学)、眞鍋 雄貴(熊本大学)
実際の開発現場において、OSSの混入確認や意図しない混入防止のための チェックツール適用や確認作業は常時実施されており、かつツールでは特定で きない版権表示の再確認、ツールの出力結果の確認作業に多くの工数を要して おり本研究が実用化されれば、ソフトウェア開発現場で大きく役立つものにな ると思います。
研究の有用性は現論文からも十分理解できましたが、今回ベースとされたOSS の検知ツール以外にも、複数のツールが世の中には存在すると思います。それ らが採用している方式との差別化ポイントや比較等が論文に記載されますと更 に本研究の価値が高まると思います。
機械学習によるテキスト分類のターゲットにFLOSSのライセンスを選び、また、 未知のライセンスに対してどう解決を与えるかの道筋を示した内容を大変興味 深く拝読させて頂きました。
気になった部分が何点かあるので確認して頂ければと思います。
1) 「ライセンスを得る」
P1右「ソフトウェアを再利用する際には、ライセンスを得ることが義務付
けられている」
この記述は正しいのでしょうか?ソフトウェア一般に対して「ライセンスを得 る」とあると読めます。それはプロプラエタリなソフトウェアがライセンスを 得ることを求めている際にのみ限定されるのではないかと思いますが、どうで しょうか。
もちろん、論文中にあるようにFLOSSのソフトウェアを利用することにしても ソフトウェアのコードを再利用するにしても、誰とも契約も確認も取り合わし ていません。
2) 「訴訟問題に発展する恐れ」
P1 右 「ライセンスの不整合問題が生じると、最悪の場合、訴訟問題に発展
する恐れがある」
使っているコードのライセンスの不整合から訴訟問題に発展した例が思い浮か びません。どこかにこのような説を唱える法律家、あるいは過去に類似事例が あったのでしょうか。
3) 「計算時間が膨大になった」
P6 左 「計算時間が膨大になったため、学習データと〜TDMを用いる」
Rのテキストマイニングパッケージを使ってRandom Forest法を使った場合、実 際にこのツールをうごかさなくても処理の負荷はイメージとしてつかめますが、 「膨大になった」という実験の結果を踏まえての記述ならば目安として使って いたコンピュータの性能ぐらいは示しておくべきかと思います。
以降は最後まで読んでの感想です。
「8.3制約」にかかれているように一般性を考えると類似ライセンス推定はな かなかむずかしい、というのはその通りだと思います。
なぜならば、GNU直轄のプロジェクトのようにライセンスについて厳しく扱っ ているものならば、極めて定形的なので、この手の類似ライセンス推定はかな り有効かと思います。一方で、FLOSSのコードを読んでいると、中にはライセ ンスに関して理解がなく、(思いつきといっていいほどの)ライセンスを見よ う見まねで付けているようなものに出くわします。
このような杜撰につけた、あるいは情報量がほとんどないようなライセンスコ メントから類似ライセンス推定すること自体が不可能かと思います。特にMIT 亜流のライセンスには、ライセンスなどの法的な知識のバックグラウンドもな く、ただ見よう見まねで書いてみたといったひどいライセンスが多々あります。
また、BSD2とBSD3の文言は似ているのでクラスタが出来た、とあるのですが、 クラスタが出来るという技術的な面においては、その通りなのですが、ライセ ンスの意味的には第三項目が追加されたのは極めて大きな意味をもちます。ま たライセンスの内容的にはGPLv2とGPLv3は同時に存在していた場合、矛盾を引 き起こす部分もあります。ですが同じクラスタに分類されるので、この矛盾は クラスタに内在するはずです。
このようにライセンスを(意味的においても)分類するというのは、大変難し 問題であると感じざるを得ません。
むしろ逆に、Webサービスとしてこのシステムを用意し、リリース前のファイ ルをアップロードすると、ファイルにあるライセンスが正常に(あるいは意図 したライセンスに)分類できることをもって、客観的なライセンス記述のチェッ カーとして使う方法もあるのかも知れません。もしかすると既に存在して私が 知らないだけかも知れませんが。
そうすれば、きちんとこの判定機が判定できる程度に定型的に、別の言い方を すると誰に対しても、どのライセンスなのかを明確に示せることが出来るので はないかと思われます。
本研究では,ソースコードのライセンスを自動で特定する手法を活用するため に,当該手法の適用結果に数多く存在する未知のライセンスを特定できるよう なルールを作成する方法が提案されています.
実験方法やその解釈について理解しやすく記述されている一方,ライセンス特 定手法が適用される場面についての記述が少ないため有用性が若干不明確です. まず前提としてライセンス上の問題は全てが適正に処理される必要があります. つまり,提案手法により予測精度が向上したとしても,完璧でない以上は目視 などでライセンスを確認する必要が出てきます.この考えではライセンス特定 手法自体の有用性に疑問が生じます. 大まかにライセンスが特定できるだけでも十分に有用であることをライセンス 特定手法が適用される場面の記述を通して明確にしてください.